いの一番が欠番!?-ムラ選挙の実態
統一地方選後半の町村長選と町村議選が21日、長野県内でも告示となった。立科町と朝日村が首長選に、17町村議選が選挙戦に突入。5町村長選と10町村議選が無投票で当選者が決まった。中には3回連続無投票となった松川町長選も。リニア駅周辺開発計画に沸く隣接町にあって、政策論争もなく寂しい限り。ただ、選挙戦に入った町村の中には、「選ぶよりも落とすため」に選挙をするような非常にユニークな地域もあるので紹介したい。
統一地方選前半の県議選で、元職と前職の町長による‘因縁の対決’の興奮が冷めやらぬ辰野町。その反響なのか、当初は無投票の観測が強かった町議選(定数14)に思わぬ波紋が。県内優良企業出身で町外から移住した自己陶酔的な元技術者と、地元の意向に反して小規模校廃止を掲げる元町職員が急きょ出馬するというのだ。これにびっくりしたのが地区役員の関係者ら。冷静に考えれば議員1人に特殊な持論があったところで、議会内の議決に持ち込めるはずもない。よく言えば多様な意見の反映でもあるが、ムラ社会的には異論は許されないらしい。そこで彼らは、異端者2人を排除しようと善後策に動く。退職したばかりで温厚かつ謙虚な町職員に懇願して擁立したほか、引退の意向だった町議を何度も説得して立候補へと漕ぎ付けた。
ところが、である。もう一人の思わぬ‘伏兵’がいたのだ。全くの想定外の中年者で、人知れず独自に届出書類を準備。21日の告示日に書類を持ち込んだ。立候補の届け出順を選ぶ仮、本抽選で共に1番を引き当てた。立候補者ならば誰もが欲しがる届け出順の1番。なのに、公営掲示板には夕方になってもポスターが掲示される気配がない。関係者によると、本人は無投票阻止が目的で、選挙戦になったので立候補を辞退したのだという。
選挙戦には珍しい‘いの一番が欠番’となる事態であった。まさかの珍事があるもので、世の中は全て一握りの特定者の思惑通りには行かないものでしょうね…。
届け出順の1番が欠番のまま選挙戦に入った辰野町議選の公営掲示板
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