9月5日、塩尻市長選への出馬記者会見で使用した原稿の全文を紹介致します。
《塩尻市長選立候補会見原稿》
平成26年9月5日
報道各社の皆様におかれましてはご多忙の中、本日はご参集頂き、誠にありがとうございます。只今より、来る塩尻市長選挙の立候補に際し、その所信の一端を発表致します。
今回の市長選挙は「市民の〝良識〟と塩尻の〝未来〟が問われた選挙」だと思います。それは昨年11月より秋、冬、春、夏の約10ヵ月間を掛けて、塩尻市内2万6千戸の全戸を訪問する中で、ずっと感じてきたことであります。戸別訪問は市民のお宅を直接尋ねる中で、市民の生の声を伺うと伴に、市民の日々の暮らしぶりがどうなのか、自らの体で実感することを目的に、ほぼ毎日歩いて参りました。
今年2月の大雪の5日後、ある市営住宅を訪ねた際には、老夫婦が二人で楽しそうに自宅を清掃する場面に出くわしました。その雪かきたるや余りに見事な片付けぶり。自分の敷地内は地面が見えるほど綺麗に除雪がなされておりました。訪ねたその日は、ご主人が笑顔で鼻歌交じりに窓枠の掃除をしており、こちらの挨拶にも返ってきた言葉は「頑張りな」の一言だけ。その言葉よりも、敷地内の雪かきぶりが老夫婦の人柄を表しておりました。
また、8月の暑い日、周辺には水田も広がる、ある住宅地を訪問した時には、訪問介護を受ける高齢女性が、下半身を引き摺りながら玄関先まで来てくれました。その女性は「60代の息子に先立たれたけれど、こうして生きているの。あなたも頑張りな」と声を掛けて頂きました。靴やサンダルで雑然とした玄関先、衣類や雑貨類など多くの物が並んだ廊下。高齢となり身体が不自由になって一人で暮らすとはどういうことなのか。その女性の動作と屋内の様子が、そのことの全てを教えてくれました。
不平不満をこぼすのでもなく、毎日を自分らしくただひたすらに一生懸命に生きる。この出会った二組の暮らしぶりこそ、塩尻市を末端で支えている、まさに市民の鑑のような存在であります。
これに対し、3期12年に達した小口市政はきちんと市民が求めるニーズに応えてきたのでしょうか。真っ当に生きる善良なる市民の上に、あぐらをかいていないのか。行政上の体面や法的な体裁は整っていても、その内実は市民のための施策になっているのか。商業や農業の活性化策と称しながら、一部の人たちの既得権益を保守するだけになっていないのか。中心市街地の大門商店街で公的所有の不動産ばかりが増えるのはどうしてなのか。9月市議会で補正予算が審議中なのに、着々と整備工事が進むのはどうしてなのか。職員は市民の方をきちんと向いて仕事をしているのか。どうにも数多くの疑念や不信が湧いてきて仕方がありません。
一方、塩尻市政55年の歴史をみても、市長の在任は3期12年を一つの「常識」として定着して来ました。これは半世紀余りに渡る〝塩尻民主主義〟の経験値が導いた大きな結論であります。これを破るとどうなるのか。塩尻の先人たちは既に権力構造が長期化する危うさを経験的に気付いていたのです。だから、先人たちの貴重な教えに背くことはできません。平安の時代から平家物語で語られるように「驕れる者久しからず」はどんなに時代が下っても変わらぬ真理なのであります。
従って、先人たちが終戦後、疲弊した地域をより豊かに繁栄・発展させると伴に、社会教育の拠点となった公民館活動なども通じて、バランス感覚のいい政治的な民度も育て上げた塩尻民主主義の価値をないがしろにすることは決して許されません。もし、目先の利益のためだけに、それが崩されようとしているのなら、体を張ってでも阻止するしかありません。「義を見てせざるは勇なきなり」。昨年11月から市内行脚を重ねる中で、多くの善良なる市民が「前へ進め」と強く背中を押してくれたからこそ、今日のこの日を迎えられたと感謝申し上げたいと存じます。
以上の理由をもちまして、来る9月14日告示の塩尻市長選挙に出馬するものであります。
なお、政策発表は来週9日(火)、その内容の説明を行いますが、1点だけ表明したいことがございます。
それは、塩尻市片丘の東山山麓で進行中の信州Fパワープロジェクト事業に関しまして、凍結する意思を明らかに致します。特に、木質バイオマスの発電施設は形を変えた産廃焼却場そのものであり、県外から放射能汚染ごみが知らないうちに持ち込まれ、焼かれてしまう疑念がある以上、そうせざるを得ないと考えます。よって、信州Fパワー事業については、「凍結」か「継続」かを問う住民投票としての市長選でもあると考えております。
『私には夢がある!』-。「凍結」を選択して頂いた暁には、この事業を見直し、企業や市民に還元できるような事業として根本的に再編致します。
以上でございます。ご静聴誠にありがとうございました。
(塩尻市長選立候補予定者 小野光明)

-参照:9月6日付信毎「焦点」より