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県の補助金不正と同じ構図か!?

 信州Fパワープロジェクトの市有地をめぐる融資問題は、大北森林組合の補助金不正受給事件と同様な疑惑の構図が浮かび上がる。ともに長野県の森林づくり事業において、同組合は県林務部と、同プロジェクトについては製材会社と塩尻市が、公金か公有地をめぐって私的な利益を引き出したとも言える。
 同組合の補助金不正受給事件は先日の裁判で、同組合の前専務が地検から懲役6年の求刑を受けて結審、来年3月末に判決が下る予定。この裁判は森林作業道の補助金申請をめぐり、同組合側と県林務部側のどちらが主導的な役割を果たしたのかも、一つの争点であった。結果的に、誰一人として県職員の刑事責任が問われないまま、同事件は幕引きとなった形だ。
 同プロジェクトに関しては、工場用地である市有地の借地に抵当権が付けられ、製材会社の融資担保になった。公有地等の行政財産については、地方自治法でその管理と処分、私権の設定などが厳格化され、使用を許可する場合でも借地借家法は適用外になっている(238条の4)。
 松本市や長野市に対して、市有地の借地に抵当権を付けて融資の担保になっているケースの有無を聞いたところ、「そんな事例は聞いたことがない」「担当課に来て、そんな話は一度も出たことがない」との回答だった。どうも、今回の事例は全国的にも有り得ない違法なケースが飛び出したとも言えそうだ。

記者会見を実施!

信州Fパワープロジェクトの問題点について

 同プロジェクトに関して、重大な疑念が生じたので、塩尻市民をはじめ多くの県民にその問題点を公表したい。要点は以下の通り。

 1、総務省平成27年度調査「森林の管理・活用に関する行政評価・監視」 (資料1)
 2、事業用地は3月末に賃借権を設定、7月に移転、8月には抵当権 (資料2)
 3、誰が賃借権譲渡を保証し、市議会での議論やチェックはあったのか
 4、木質バイオマス発電施設は着工できるのか。施設整備の補助金、事業ファンドの投資額65億円はどうなるのか (資料3)
 5、木材加工施設で昨年9月発生した労災死亡事故について、長野労働局の処分は適切だったのか
 6、同プロジェクトの構想は今後、どうなっていくのか (資料4)

以上の要点に基づき、その内容を説明。地元の信毎や中日、市民タイムス、テレビ松本をはじめ、NHKや読売、毎日、朝日の報道機関8社においで頂きました。
最大の問題点は市有地の借地に抵当権を設定したこと。そのほか建物や製造機械等を含めて担保物件を一括し、6金融機関による総額33億円余にもなる融資シンジケートローンを組んだこと。
地方の中小企業に対して、なぜ高額な融資を組んでしまえるのか、担保価値に加えて企業への保証がないと難しいはずだ。
差し当たり、本日はここまでに致します。

県議候補者の回答は?-信州Fパワーについて

長野県議選は11日、選挙戦の最終日を迎えた。塩尻市区(定数2)に立候補した4氏は最後の訴えに声をからした。昨日には県が主導する信州Fパワープロジェクトのうち、大型木材加工施設が同市片丘に完成、事業主体の企業が現地で竣工式をしたばかり。同プロジェクトについては先月30日、各陣営にブログで紹介した「信州Fパワー 未だ迷走中!」の記事コピー添付し、この事業に対する考え方の質問書を手渡していた。本日11日までに4陣営の回答が出揃ったので届け出順に紹介したい。
 先月に続木幹夫氏には直接、文書を渡していた。11日に3回、選対事務所に電話問い合わせしたものの、選対役員との行き違いもあったが、結局、「本人との連絡が取れない」として何ら回答がなかった。
 青柳充茂氏は電話で回答を寄せ、「細部をみると色んな問題があり、しっかりと検討すべき点はそうしなければいけない」と答えた。
 備前光正氏はファクスで文書回答し、「県林業資源の活用と再エネの普及・拡大から注目すべき事業。1万kwの発電出力は林業者や専門家から疑問も。規模が適正か検討の必要がある」とした。
 丸山大輔氏の事務所で先月末に文書を受け取り、「検討したい」としていた落合事務長。本日の電話問い合わせに対し、同事務長は「忙しくてそこ(回答)まで手が回らない」と述べた。
 告示4日前のお願いであったが、各陣営ともその対応はまちまちであった。
 12日はいよいよ県議選の投票日。有権者の皆さん、どうぞ忘れずに投票致しましょう。

塩尻市区(定数2)に立候補した4氏。12日の投開票の結果は果たして…。

 


「自らの考えで投票を」公開討論会を傍聴

 「政治に関心を、自らの考えで投票を!」。長野県議選塩尻市区(定数2)の公開討論会(塩尻青年会議所主催)が30日夜、同市内であり、傍聴した。同市区に立候補を予定する備前光正氏や続木幹夫氏、青柳充茂氏、丸山大輔氏(主催者抽選順)の4人が登壇。立候補の動機をはじめ、地域産業政策や人口減少対策、子育て支援策等の5つのテーマに渡って、各自が訴える政策や塩尻の未来構想を発表した。
 ここでは従来から取材活動等の課題にしてきた、木材加工施設とバイオマス発電による信州Fパワープロジェクトに対する4候補者の見方をピックアップ。備前氏は「太陽光やFパワーは小規模分散型がいい。自然再生エネルギーの先進県として体制を確立すべき」。続木氏は「Fパワーは県全体の林業再生になり、軌道に乗せて成功すれば再生エネルギーのブランドになる」。青柳氏は「Fパワーは収益の確保策であり、自治体でもできる。民間が行う今の形には工夫が必要だ」。丸山氏は「(地域再生として)思い切ったことが必要であり、Fパワーは一つの突破口になり得るものだ」。それぞれ観点が違うものの、県が主導して市も参画する同プロジェクトへの見解を述べた。県議選告示日が4日後の4月3日に控えた時期でもあり、ここでは個別の論評をしないものとする。
 なお、同日、各立候補予定者の事務所を回り、このブログで紹介した「信州Fパワー 未だ迷走中!」の記事を添付した「意見聴収と回答のお願い」を配布。4人の回答が出揃った段階で、当ブログで紹介していきたい。

「政治に関心を持ち自らの考えで投票しよう」と呼びかける公開討論会の案内チラシ

 

信州Fパワー 未だ迷走中!

 戦略会議は非公開
 大型の木材加工施設が4月の運用開始に向けて着々と整備が進む信州Fパワープロジェクト。現場の動きが著しい一方、その動向を統括する推進戦略会議と部会である木質バイオマス推進協議会が1年ぶりに年度末の慌しい中、相次いで開催された。同協議会は公開されるのに、中枢の同戦略会議は門戸を閉ざしたままだ。35億円もの税金が投入されるのに長野県の対応ぶりには首を傾げてしまう。
 どうなる松くい材の扱い
 3月25日開催の同戦略会議では、バイオマス発電の燃料として扱う松くい虫材の木質チップの取り扱いに関しても議題に上がったものと思われる。県林務部は県内でもマツノザイセンチュウによる被害が深刻な松材の対応に苦慮しているからだ。伐採地でのチップ化を基本方針に据えるが、その大型機材が最低でも1台2千万円と高額なのがネック。また、バイオマス発電で燃料用にするにも被害木の伐採時期と搬入ルートが課題に。5月以降の移動になると被害の拡大のおそれも。
 ペレット重視に変更
 塩尻市が主管する同協議会は同23日に開催。2年遅れの導入となるバイオマス発電について、当初は温熱水利用だったが、木質ペレットを重視する方針に切り替えた。その需要を喚起するため、老人福祉施設にペレットボイラーを設置済みのほか、平成27年度は学校施設等にペレットストーブ29台を導入予定。当面は上伊那森林組合からペレットを購入するものの、Fパワー敷地内に製造施設を整備するのか、時期や規模について事業主体の建材会社は明確に表明していない。普及の課題は灯油を下回るコストでペレット販売ができるかであろう。
 県は撤退方針か
 県林務部は「事業主体はあくまで建材会社だ」(県産材利用推進室)との基本方針を持つ。平成27年度に木材安定供給の制度づくりと虫害材由来の木質チップの流通に目途が付けば主導役を降りる意向のようだ。塩尻市に「Fパワーは県の事業だ」(市長)との認識があっても、その後は建材会社と市との関係性しか残らない。県は木質ペレットの流通に関与せずに終わりそうだ。

(4月10日の本格稼働に向けて松材の搬入が進む信州Fパワーの木材加工施設)

 

Fパワー、それで説明したことになるの?

 小野候補の演説を聞いていた住民の方から、「3月頃だったと思いますが、市の『分別ごみの出し方説明会』という集会の呼び掛けで出席したんです。でも、実際には木質発電についての説明がほとんどで、分別ごみに関する話はほんの数分程度でした。その時は、発電のことはチンプンカンプンで、何のためにそんなことを話しているのかもわからなかったんだけど、小野さんの話を聞いてようやく、信州Fパワーのことだったんだと分かりました。…ですが、地区役員や何も知らされていなかった主婦ばかり集めた、こんなだまし討ちみたいな集会のやり方で、小口候補が『Fパワーについて市民に十分に説明してきた』と言うのはおかしいのでは?」という声を何人かの方からいただきました。
 市民の間にも、「Fパワーのことはよく分からないし漠然と不安を持っているが、市や県が監視してくれるだろうから心配ないだろう」と、自分を納得させて疑問の声を上げないでいる人もようです。皆さん、これで「Fパワーについて市民に十分に説明責任を果たしている」と言えると思いますか?(K)

特報:Fに長野モデルあり

実態に見合う規模と運営 堅実経営
10年の実績
 民間7社の事業協同組合による「いいづなお山の発電所」は長野市飯綱高原の手前にある。2基のバイオマス発電所があり、実績は既に10年以上。発電規模は第1が1300kwと第2が1500kwで、燃料は第1が木質系廃棄物の破砕チップ、第2が未利用材の切削チップを使用。第2は昨年から稼働する。

徹底した情報公開と地域貢献
 同組合によると、「発電事業に何ら隠すものはなく、いつもオープン」とし、どんな検査機関であれ、小学生の社会見学であれ何でも受け入れる。地元の地下水や農業用水を利用する関係から、地域行事等にも積極的に参加、協力しているという。社会見学用には独自に紹介DVDも作成、自然再生エネルギーと森林整備の関係を分かりやすく説明する準備も万全だ。

生産電力を有効活用
 発電した電力は単純に、大手電力会社に売電する訳ではない。組合内に新電力会社(PPS:特定規模電気事業者)を立ち上げ、スキー場や大手電力会社、電力取引所のほか、エネルギー地産地消の観点から長野市役所にも近く売電する予定。2年後には一般家庭への電力全面自由化を控え、新たな収入源に期待も寄せる。

信州Fパワー事業との違い
 その発電規模が1万kwもの信州Fパワープロジェクト事業。5千kwが採算分岐点とされる中、同組合が1千kw程度からスタートしたのは「発電に必要な燃料を継続的に調達するのは困難」との判断に基づく。間伐材や端材等だけに頼る腰同事業は十分な燃料を確保し、目標とする発電量を果たして最初から維持できるだろうか…。

放射能ごみを拡散か!?
 全国では、太陽光発電に次ぐ自然再生エネルギーとして木質バイオマス発電所が数多く計画され、1万kw以上も10ヶ所程度で稼働中。一方、福島県内では仮説焼却場の建設が相次ぎ、4ヶ所で実働中だ。
  木くずによる木質チップは産廃でもあり、バイオ燃料に混じらないとも限らない。2020年の東京五輪を控え、関東周辺の放射能ごみを急いで処分したい思惑もある。それらが持ち込まれ焼却の可能性は十分に有り得るところ。これには監視体制も必要だ。




信州の田舎暮らしとFパワー

 信州のいわゆる田舎暮らしと云えば、農的生活の側面を指すのが一般的であり、林業とのつながりは意外に薄いもの。それは都市部を除き、里山が身近な中山間地域を従来から生活の拠点とする住民でも同様だ。
 それは現代において、兼業農家はいても兼業林家がほとんど存在しないことが、現実を如実に語っている。それだけ普段の生活で森林との関係性が浅いことの現れでもある。
 趣味の一つとして春と秋の山菜採りはしても、日常的に山に入ることは少ないもの。山林組合等に加入して山の下草刈や枝打ち作業をする住民は信州でも相当に少ない部類になるだろう。
 そうなってしまったのは、生活において薪や炭から石炭、石油へと変化したエネルギー消費の変化もある。学校の冬の石炭ストーブ当番で、焚付を持ち込んで石炭に火を付けた経験があるのは50歳以上の中高年。焚付を作るために近くの里山に入り、枯れ松葉や小枝を集めたものである。木炭を焼いた記憶があるのはさらに上の世代、70歳以上でないとその経験はないだろう。
 それだけ、信州人からも遠い存在となっているのが里山であり、林業である。だから、水源の涵養や間伐の必要性と言っても森林の現状について、実感を持って考察するのが難しい時代なのだ。
 従って、集中型木材加工施設と木質バイオマス発電を建設する信州Fパワープロジェクト事業に対しても、理念に謳う森林整備を一般論では理解できても、その具体論になると内実が見え難くその細部に思いが及ばないことになる。(同事業に関しては以前のブログを)
%E4%BF%A1%E6%AF%8E%E4%BC%81%E7%94%BB%E4%B8%8B.pdf (PDF: 1112.89KB)
-参照・信毎「塩尻 飛躍を目指して」(下)

 
 

特報:Fパワーは誰の為?

特定者の利得か 公共性・公平性は
 信州Fパワープロジェクトは林地斜面を開発した約20haの用地で事業展開する。背後の東山山麓には国定公園が広がり、北東側には県郷土環境保全地域の牛伏寺鉢伏山麓も控えた場所。
 この事業は民間一社の独占状態で経営、木材供給のために県の仲介で11月には流通センターも整備される段取りだ。県費等の35億円を投入、総事業費は約120億円。木材加工場の建設が進む一方、その資金計画や経営計画は依然、未公表のまま。県費を計上する公的色彩の強い事業にしては、公共性や公平性に疑問符が付くのではないのか。市民らに対する今後の情報公開や説明責任が待たれる。

市間伐材買取が先行 発電計画は未だ不明 
 木質バイオマス発電施設工事の時期や発電運用計画が不明の中、「軽トラに積んで晩酌代を」と塩尻市は9月から間伐材の買取事業に着手。市内の針葉樹1㎥当り3千~4千円で購入する見込み。信州Fパワー事業地の近くに集積場を設けて実施する予定。一方、間伐材等を燃料とするバイオ発電の運用は2年後ながら、同発電との整合性は課題として残されたままだ。
 やはり、最も不安が募るのは同発電に伴う周辺環境への影響だ。発電量1万kwの県内最大のバイオ発電であり、環境影響評価の調査は事業者の責務だろう。同事業の「森と生きる 森を生かす」という壮大な理念を忘れてほしくないものである。