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税の`官製流用’か!?-山師たちの憂鬱

 県紙が連日、大北森林組合の補助金不正受給問題を報じている。同組合の第三者委員会がまとめた中間報告だ。長野県も後発ながら検証委員会を設置、調査に着手したところだ。補助金を出した県林務部とそれを受ける森林組合。長年の慣行として続いていたようだが、相互の持たれ合い関係から税金を`官製流用’した癒着構造が果たして解明されるのか。さらに発展して、最終的には刑事事件までもが浮上するのか。
 県が当初に不正受給額としたのは平成25年度までの4年間で約2億2千2百万円。これが組合三者委の中間報告で同年度まで5年間で7億2千百万円余となり、5億円近くも膨れ上がった。年度末には、県職担当者がEメールを送付して、不正を依頼するような内容だったというから驚きだ。行政の単年度主義による予算消化の意味合いがあるとは云え、公金が本来の目的以外に流用されたのなら大問題であろう。
 不思議なことに、同組合から業務を受注する機械設備業者によると、これまで4年間は何かにクレームを付けて作業費用の不払いを続けていたのに、急に何の通知もないまま最近になって銀行口座にはその費用が振り込まれたという。林業不況により長年にわたり民間の山林業者が激減、その関連業者は数少ないのが現実。一方で、森林整備などに多額の公金が投入されているのに、発注者側が下請いじめをするような実態があるならば、森林県の山師たちの`憂鬱’はそう簡単に消えそうにない。

信毎web:7億2100万円「不適切」 大北森林組合第三者委が中間報告


公金の不正受給はさらなる拡大と新たな問題を浮上させるのか…(29日付信毎社会面)

 

統一地方選が終了-どうなる地方自治

 2015年の統一地方選が26日の投開票で全て終わった。候補者にとって昨日は、悲喜こもごもの長い一日だったことだろう。新聞には平成生まれの議員誕生を喜ぶ一方、各地で投票率が過去最低を記録したことや当選議員が高齢化する現状等を憂えている。国政ばかりでなく身近な行政も遠い存在になっていくのか。地方経済の低迷も反映して、長野県内では農業や自営業の議員が減っていくのも気になるところだ。
 率直に申し上げれば、地方自治は益々硬直化していくのではなかろうか。それは当選議員に公務員出身者が増えているのにみてとれる。塩尻市議選の場合、初当選した新人5人のうち4人が元公務員。以前は全体の奉仕者だった人々が特定の支援者らの奉仕者になる。行政の裏も表もに通じた人々が増えると、議会の透明性よりも密室性が強まるのではないか、そんな危惧も感じざるを得ない。為政者側と巧みに一体化すれば、市民要望に対しても選別が進み、市民の声なき声が届きにくくなる懸念もないわけではない。
 それでも、統一地方選の後半戦が終わったばかり。新たに有権者の負託を受けて当選した議員の皆様方には、市民からよりよく選ばれた選良であるので、地方自治全般を今一度よく見渡した上で、主張した公約通りのまちづくりに邁進してほしいものである。
 なお、以前のブログで紹介した「ムラ選挙の実態」の結果は1勝1敗。蓋を開けるまで分からない選挙戦の難しさでもあり、全てに思惑通りに行かない政治の一断面とも云えるのでしょうか…。

長野県内市町村選 投票率最低55.85%

統一地方選の後半戦は如何に!

 長野県内でも19日、統一地方選の後半戦が始まった。諏訪市長選は新人の女性(56)が無投票で初当選。茅野市長選は2期目の現職(61)と新人(60)の一騎打ち。松本、岡谷、諏訪、塩尻の6市議選は選挙戦に。駒ケ根は定数と同じ立候補者により無投票で15人の当選が決まった。「地方創生」や「人口減少」が地方自治の政治課題に浮上する中、選挙戦の低調ぶりは否めない。
 20日付の信濃毎日新聞には、‘社物’の「長野マラソン特集」が全紙サイズで本紙を覆っていたものの、1面トップは「諏訪市長に金子氏 県内初の女性市長 24年ぶり無投票当選」。2面には「転機の諏訪 課題山積」の解説記事。一方、その肩には「7市議選 女性候補者比率が低下」の分析記事。全体の立候補者数に占める女性の割合は15・1%。前回の17・8%から2・7㌽下回った。女性比率は1971年以降、上昇していたが、減少に転じたことを報じている。
 前半の県議選諏訪市区(定数1)から見通すと、こちらには3氏が立候補。1氏は前回の同市長選に出馬しながら、県議選に鞍替え、市長選の一騎打ちを避けた格好。一時、地方紙経営者の名前も取り沙汰されたが、立候補には至らなかった。いずれも、金子氏の地盤の強さに対抗できないとの判断だろう。諏訪湖周の元首長によれば、「諏訪地方を良くするのも悪くするのも諏訪市のリーダーシップだ」とする。広域的課題の国道20号バイパス、JR中央東線高速化、6市町村合併はいずれもその政治手腕が左右してきたとの認識だ。さて、県内初の女性市長は今後、どんな手腕を発揮するのか…。
 一方、塩尻市議選はどうか。県紙地域面には「市政チェック機能果たして」、地域紙には「低い関心 訴え工夫 人口対策 大きな課題に」の見出しが躍る。首長と議会の二元代表制のあり方をはじめ、議会のチェック&バランス、昨年12月定例会で議決した議員報酬の増額と政務活動費の廃止等。本質的な論戦が十分になされるのか。端的に云えば、市長に対するスタンスとその信念を見極める必要がある。誰のための市政なのか、有権者ひとり一人の政治的な眼力が試される選挙であろう。

信毎web:諏訪市長に金子氏 県内初女性市長 茅野市長選は現新対決

市議選に出馬せず

 一部に熱心なラブコールがあったものの、熟慮の結果、19日告示の塩尻市議選に立候補しないことを決めた。県議選後の動静や今後の政治的なスタンス等を踏まえて判断した。
 市外の関係者から見ると、塩尻市の歪んだ行政や業界、議会のあり方が異様だと映るらしい。確かに近年は市会の動向を見渡すと、誰のための議会か首を傾げざるを得ない。議会のチェック機能やバランス感覚は一体どうなっているのか、市長に対してしっかりものを言えているのか、公人としての言動が一致しているのか。議会基本条例を策定しながら、その基本に忠実なのか。報酬の改定や政務活動費の廃止は誰のためだったのかー等、その疑問点は数多く、正すべき点は数多いと実感するのは確かだ。
 ただ、昨年9月、市長選に挑戦した立場からすると、一議員に戻ってしまうことはその政治的な志向性も変えてしまうことになる。在野にあることは行政の懐からも遠く、岡目八目ではないが、逆にその実像がよく見えたりもする。なので、在野精神を十分に養い、市民の声に謙虚に耳を傾けつつ、新たな活動にも挑戦しながら、しばらくは市政の動向を冷静に見守ることとしたい。

自身のポスターを張ることもない塩尻市議会議員選挙の公営掲示板


「最近の首長は〇〇〇だ!」

「最近の首長には、将来を展望するダイナミズムがない」。
「まるで、その公職に就くことだけに、安住しているかのようだ!」。
 6月7日、長野県南信地方の元首長と懇談する機会に恵まれた。彼は20年以上前に若くして首長を務め、当時は地方のニューリーダーとして注目を集めた人物。今でも冬季スポーツ団体の役員として競技の振興発展に心血を注ぐ。
 20年前と云えば、長野県は冬季五輪の開催が決定し、「バブル経済」崩壊後も五輪施設や道路の建設等で公共事業が他県に比べて堅調な時期。また、五輪施設が北信地方に偏っていたため、中南信地方との「南北格差」問題が浮上。地方のミニ博覧会ブームもあり、中信地方の松本市で「信州博」が開催された時期でもあった。
 当時から現代を俯瞰してみると、バブル経済の余波による地方のリゾート開発が次々と頓挫。関係する大型プロジェクトの都市開発も中止を余儀なくされた。長野県内は長野五輪の開催準備とその成功へ意識が移っていた一方で、リゾート開発や大規模事業に伴う行政の負債はそれほど重荷にならなかった。ただ、長野県は五輪関連の公共事業ラッシュにより表向きは社会資本が充実したようにみえるが、県都の長野市を除き、結果として中南信地方の「南北格差」は残されたままだ。
 そのことは隣接の山梨、岐阜両県のそれを見れば一目瞭然。例えば、道路網の充実は両県の方が格段に上。現在、長野県は「観光立県」の旗振りをするが、すでに上高地は飛騨高山の観光ルートに組み込まれ、実質的に岐阜県化。同じく八ヶ岳周辺も山梨県は北杜市のみが山麓の一部に入るだけながら、八ヶ岳高原リゾートのイメージは山梨県が先行中だ。これはハードの社会資本だけでなく、ソフトのおもてなしサービスにおいても、長野県の対応が遅れており後塵を拝する一因でもあるのだが…。
 さて、元首長の話である。何も県行政の対応の遅れだけで現況の停滞を招いたのでない。「地元の自治体首長がやるべきことをやらなかった」というのが彼の弁だ。熱しやすく冷めやすい、また内向きで現状維持を旨とする県民性があるのも確かだ。ただ「将来のために、首長が一部の反対を恐れて真に必要なことをしないと、他県との都市間競争には絶対に勝てない」とその考え方は明確だ。ある湖を抱える某市を見てみると、鉄道複線化も国道バイパスもデッドロックな状態。自然豊かな高原や湯量豊富な温泉、お盆の盛大な花火大会など多くの観光資源を抱えながら、果たして将来、その資源を最大限に生かし切ることができるのだろうか…。
 「爽やか信州」は現在、行ってみたい住んでみたい都道府県ランキングの上位として常連ながら、外部からの評価に対して県内では冷めた見方も多い。だが、そんなイメージが高いうちに、必要不可欠な施策を講じておかないと、そのランキングでも岐阜県や山梨県の後塵を拝するのは近いのかもしれない。