馬頭観音群と総称しないのが興味を誘った。馬の供養や馬の安全のために祀られたものが馬頭観世音だ。建立されるのは馬が死んだり、負傷して廃馬にした場合は、その場所に建てるのが風習だったとされる。「馬捨場」と称するのは一つの宿場気質の表れなのだろうか…。
　塩尻市誌によると、一般に多く建てられているのが死馬捨場や血採駒場（ちとりこば）と呼ばれている共有地。昭和時代の圃場整備や道路改修新設によって場所を変えて一カ所に収容された箇所もあるという。
　この跡は塩尻宿から北へ600m程奥に入った場所にある。馬頭観音等は20基以上あり、宿場で息絶えた馬等をここで一括して供養したと思われる。因みに塩尻市内の馬頭観音数（楢川地区を除く）は塩尻東が145基で、北小野の229基に次いで2番目に多い（同市誌）。
　これも歴史的な綾なのだろうか。個人的に最も興味深いと思うのは、ここから東へ約200m進んだところに市斎場（火葬場）があるという事実。同市誌には用地選定の記述はないけれど、馬頭観音が招き込んだのであろうか…。
— 場所: 塩尻宿馬捨場跡 （塩尻東町区）


　
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