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〚しおじり行脚考記13〛~えんぱーくの壁柱時計~

 柱時計でなく‘壁柱’時計なのである。えんぱーく(市民交流センター)を象徴する大きな一つの場所、市立図書館入口のエントランスホール「水のコート」にある。東側の壁柱に左半分の時刻盤がない、木曽漆器の漆工芸による大時計が、今も時を刻んでいる(=写真)。
 この施設の特異な構造となっている壁柱は、厚さ200㍉のコンクリートの片面に6㍉鋼板をスタッドボルトで一体化し、長さは11.4㍍。4種類97枚の壁柱を組み合わせ、建物の基本構造となっている(「新建築」2010年10月号)。設計者が地域の中の建築像に求めたのは「地域の人びとが自らの『市民力』を喚起するような公共建築」(同)という。
 「来場者の多いうちにこの熱をまず市街地へ、次いで全市へ広げ、『また来たい』と思わせる街にするのが、賑わい再生の基本プロセス」(「建築技術」2010年12月号)というのが関係者の熱い思い。「ここは友達や家族といっしょに、あるいはひとりで散歩しながら一日楽しく過ごせるところ」(「リアル・デザイン」2010年11月号・第2回現代建築紀行)との評価も。ただ、年数億円に上る維持管理コストとの関係性の話は余り見聞きしないけれど…。
 難しい話はさておき、壁柱時計である。白い壁に漆黒の長短針と時刻盤がよく映える。直径は3㍍余りあり、その大きさから長針は常に動いているのが分かる。4階まで吹き抜けの水のコートには2階への螺旋階段もあり、多くの人が行き交う。「建物の中は迷路のようでよく分からんね」というお年寄りも、ここだけは地域振興バスの待合場所として、その姿がよく見られる。
— 場所: えんぱーく 塩尻市立図書館
〚しおじり行脚考記13〛~えんぱーくの壁柱時計~

 
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